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「まあ、あのふたりは主役の座につくには力不足だな。おまえたちみたいなモンスター級の身体能力がないしさ」
ちょっと待ってくれとタツオはいいそうになった。逆島家伝来の秘術「止水」がなければ、自分の運動能力は上の下くらいのものだ。
「もう決まったようなもんだ。ふたりのどっちかが正操縦者様になったら、おれを副操縦者に指名してくれよ」
ふざけた軽い口調だが、クニの目は笑っていなかった。1名の正と6名の副。須佐乃男の操縦者は全部で7名しか存在しない。だが、誰もが日乃元の歴史に名を残す生ける軍神となるだろう。須佐乃男は100万人を楽に超える汎帝国=エウロペ連合の侵略軍から、日乃元本土を守る切り札、決戦兵器なのだ。
「そう簡単にいくかな」
おもしろがっているような声は、タツオのつぎに正操縦者に近いジョージだった。腕時計を視認しながらいう。
「クニはサイコと五王(ごおう)龍起(たつおき)を忘れているよ。サイコには兄のカザンと同じ『呑龍』があるし、タツオキは五王重工の無限に近い資金力と最高の軍事テクノロジーがある」
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