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「はーい」  クニが手をあげていた。逆島少佐がおもしろげな表情で、ナンパな副操縦者候補にいった。 「鳥居少尉、質問を許す」 「はい、ミチルさんとカケルさんは双子だという割にはぜんぜん似ていないと思うんですが、どういうことでしょうか」  タツオも双子を観察した。どちらも違うタイプの美人だが、なにより肌の色や性格がまったく異なっているように見える。一般的な双子のイメージからは遠いようだ。うつむき加減にカケルがいう。 「わたしたち双子だけど、一卵性でなくて二卵性なので、似ていないんです……お姉ちゃんのほうが7分だけ先に生まれてきたんですけど」  人の遺伝子とはおもしろいものだった。同じ母の卵子から、こうも異なる個性が生まれる。ミチルが鋭くいった。 「わたくしたちが二卵性双生児で、似ていないからといって、それがなにか須佐乃男計画に影響するのですか、鳥居少尉?」 「いや、そんなことはないっす。つまらない質問で、すみませんでした」  クニがあっさり謝ると、軽い笑い声が北不二演習場の会議室に流れ、座が和らいだ。
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