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花言葉、あとで本屋さんに言って調べてみようかな。あと、可愛い花瓶を買ってこなくっちゃ。お小遣い足りるかな。
わくわくしながらレインを振り向くと、じとりとした視線であたしを見ていた。……ううん、正確には、花束を?
「なあに?」
「花、嬉しいのか」
「うん! 初めて貰った!」
「……そうか、よかったな」
うん! と頷けば、レインはカウンターから出てあたしの手を取った。仕事はもう終わったのか、真っ黒のタブリエを外している。
「花瓶、買いに行くんだろう。行くぞ」
「! なんでわかったの! 嬉しいっ!」
わぁい! とその腕に抱きついた。とびきり可愛い花瓶を、見つけるんだ。
花束から一本のガーベラを引き抜いて、レインに手渡した。少しだけ見開かれた色違いの瞳が、その意味を問いかけてきてる。
「希望! お裾分け!」
「それはどうも」
手を繋いで、空いた手でお花を持ってお買い物。
全部が嬉しくて、ついつい頬が緩んでしまうのを我慢できない。そんなあたしを、可笑しいと笑ったり怪訝な表情で見たりはせず、すごく穏やかな視線で見守ってくれてたりするから、なんだかむずがゆい。
だから、誤魔化すようにCuoreを飛び出した。
帰ったら、一番にクロウさんに見せよう。ありがとう! って、心からのお礼も一緒に。
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