◆花束を渡す

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 あたしの抱える真っ白な花瓶にさっきの花束が綺麗に生けられているのを確認して、クロウさんはレナさんに返した言葉を、今度はあたしの目を見て言ってくれた。 「はい、お返し」 「ん?」  クロウさんのシャツの胸ポケットに一輪の薔薇の花をプレゼント。目を見開いているクロウさんに、レインが教えてあげている。 「……俺と、クレアからだ。深い意味はない。気にするな」 「はあ」  クロウさんはキザだから、真っ白い薔薇が似合うと思ったんだ。うん、やっぱりすごく似合う! 「ほおお……レインとクレアちゃんからねぇ」 「深い意味はないって言ってるだろ」 「ありがとうございますぅ」  お花パワーってすごい。皆笑顔になるんだ。それって、すごく幸せなことだ。 (微妙にひきつってる気がする)レインとクロウさんの笑顔がそばにあることが嬉しくて、あたしはもう頬が緩むのを我慢しなかった。  この後、レナさんはロッドおじさんの部屋の前で深呼吸をしてから、得意げな顔でキャッツテールを見せびらかしておじさんに焼きもちをやいてもらって。そして、おじさんは大きな花束をレナさんにプレゼントしてた。たっくさんの、真っ赤な薔薇を。  皆で盛大にからかって、おじさんがその薔薇みたく顔を真っ赤にして怒って、皆で謝りながら笑っちゃった。    そして、ロッドおじさんやレナさん、Cuoreにいる皆にも、それぞれ一輪のお花を準備してたから笑いに包まれた中、ひとりずつに手渡した。あたし個人の、似合うなって気持ちのお花を。  今日のCuoreは色とりどりの鮮やかな色がたくさんあって、皆笑顔で――すごく素敵だ。 Fin.
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