◆花束を渡す

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「プレゼントだよ、クレアちゃん」  今日の主人公は、正義の剣を振るって囚われの姫様を救い出す騎士。無口で、無愛想で――でも、本当は優しい。そんな姿がレインそっくりで、文字を追うごとに緩みそうになっていた頬をぷに、と。つつかれた。  へ? とまぬけな息が漏れたあたしの頬を再度つついて、その人は吹き出した。 「可愛い顔が台無しだよ、クレアちゃん」 「……もう、誰のせいなのー!」  ぺちり、と頬に伸びていた手を軽く叩くと、彼はにこにこと笑いながら「ごめん」と謝罪してきたけれど。  絶対、悪いと思ってないよね。その顔。 「クロウさんて、いつも本読んでると邪魔してくるよね」 「あれ、気付いてたの。クレアちゃんてば意外と敏感ちゃんなのね」 「だっていっつもいい所で邪魔してくるからっ」 「いやね、これはね、きみの事を思っての行動なのよ」  へっ? と。さっきよりもずっとまぬけな声が出た。ぶほっと盛大に吹いたくせにわざとらしい咳払いで誤魔化そうとしてるクロウさんを追求しようとして……やめた。また、笑顔でかわされるだけだもん。  だったら、この、意味深な言葉の真意を知りたいもん。 .
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