第三話 取引は天秤により

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 ………私は、真っ白で無機質な天井と、蛍光灯の灯りで眼を覚ました。  確か、シャワーを浴びていて、途中で目眩と耳鳴りが起きて………  それから……  それから……  よく思い出せない。  私の名前は、風間 綾音。  間違いない。  普段は見知らぬ誰かの記憶がインスピレーションとして流れ込んでくるのに。  「……私と同じ名前、同じ容姿……  なのに、どうして他人の景色のように流れ込んでくるの……?」  理解が出来なかった。  まさかこの世界に、同じような瓜二つの姿で、同姓同名の人物が居て、赤の他人?  そんなわけがない。とは云えないが、あのインスピレーションを感じるからには、どうも他人とは思えない。  「……もう一人の風間 綾音……  そしたら、私は誰……?  私が風間 綾音なら、もう一人の風間 綾音は………誰なの?」    
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