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……それから二日掛けて精密検査が行われたが、結果は良好。至って異常はなかった。
私を担当した看護師の白石さんも岡本医師の思念を読み取っても、腑に落ちない様子だった。
退院後、入院費と治療費に莫大な金額を請求されたが、預金が足りていたため事なきを得たが、痛い出費に違いは無い。
……その後、私は独り暮らしをしているアパートへ戻り、違和感に気付く。
見ていた景色や記憶をリアルタイムで共有し、ネット掲示板に書き込みをしていた30代の男性の意識が途切れたのだ。
私は意識を集中して記憶を辿ろうとしたが、それでも新しい記憶を得ることがなかった。
彼の記憶が途切れてから翌朝、スマホのネットニュースを見て驚愕した。
"30代会社員男性、昨日未明に都内某所の高層ビルから飛び降り自殺。ネット掲示板には女子高生と記憶を共有していると書き込み"
噂が広まり、テレビの全国ニュースでも取り上げられ、数日前の書き込みが残っていたスレ内では大騒ぎだった。
"スレ主、自殺ってマ?"
掲示板を閲覧していたスレ民達は混乱に陥っていた。
すぐさまSNSにも瞬く間に話が広がり、一部のユーザーは悪ふざけで"記憶を共有してた女子高生を探す安価"や、"自殺した男性が創作した話で、女子高生は存在しなかった説"など、根も葉もない根拠や動機による反応、更には都市伝説だったなど囁かれ始める。
仕舞いには男性が、精神疾患を患っていた説などの考察も繰り広げられていた。
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