第三話 取引は天秤により

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 ……その夜、私は再びシャワー中に耳鳴りと目眩に襲われた。  景色が暗転し、シャワーを浴びていた光景から、以前まで私と記憶を共有していた男性の亡くなる直前の光景に変わる。  深夜11時、オフィスに独り残って残業中、パソコンの電源が急に落ちた。  彼は故障を疑うが、真っ暗になったモニター越しに、背後に気配を感じる。  彼の上司が残業している様子を見に嫌がらせしに来たのか、それとも同僚が忘れ物をしたのか。  座っていたオフィスチェアをクルリと45度に回して背後を振り替えると、そこには………  ……もう一人の自分。  私、風間綾音の姿だった。  
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