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非常階段のドアで呻き犇めく無数の赤子の山から、今現在の私と同じ年齢の姿で裸体の一体の分身が凛とした姿勢で、まるで母親の膣口から分娩されるように赤子達は出口を作る。
私の一体の分身は、彼へゆっくりと歩み寄る。
「来るな! 来るな!! お前は一体、何者なんだ!?」
逃げ場を失い恐怖のあまり失禁し、歯を震わせて問い掛ける彼に、私の分身は何も答えない。
それどころか、痙攣するように肩を震わせて不適な笑みを浮かべて首を傾げる。
傾げた首の角度が、もう直角を超え、首の骨が折れる音が鳴る。
だらんと垂れた私の頭。屋上の風に銀髪が靡き、瞳から光が失われる。
その私が、ついに口を開いてこう答えた。
「モウスグセカイワオワル。
オマエノセイダ」
その声に怖じ気付いた彼はビルの縁から脚を踏み外し、断末魔な叫び声をあげながら落下した。
幼少期の頃、よく公園で水風船を作って、投げて割って遊んだ事は無いだろうか。
地上では儚くも成人男性が地上へ激突すると、まるで水風船に似た呆気ない音がビルの谷間に木霊した。
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