第三話 取引は天秤により

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 ーーー……………ここでビジョンが終わった。  私は息を切らし、これでもかと力一杯にシャワーの栓を慌てて回して止める。  「何なの! 今のビジョン……!?  こんな気持ち悪いビジョン見た事ないし………  こんな記憶、経験したことない!!」  銀色の髪から水が滴り、踞る中で思わず一人で声に出してしまう。  ……シャワーから上がった私はすぐさま着替えを済ませる。  ドライヤーで髪を乾かすのもそこそこに、気を紛らせようと買い物に家を出た。  …………だが、おかしい。  確か、自宅のシャワーで耳鳴りと目眩、そして悪夢のようなビジョンに襲われたのは、夜だった筈。  しかし、家の外は何故か、晴天広がる昼下がりだった。  
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