第三話 取引は天秤により

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 「綾乃ぉ! おかえり!  夕方までにはメシ出来上がるからな!  その子、お友達か? 新入り?」  マルクはまるで魔女のように鍋を掻き回すお玉を止める事なく、会話を続ける。  杉谷は周囲の仲間らしき若者達に挨拶を交わしつつ、マルクの側まで歩み寄る。  私も杉谷に手を引かれるがまま、彼女に(あやか)ってマルクの前で座った。  もう日常の一部として溶け込んでしまったのか、杉谷はまるで自宅のリビングの如く、リラックスして胡座をかいて周囲の仲間とじゃれ愛始めた。  「綾乃ー! さっきの上客キモオジが大量にお菓子くれたー! あげるー!」  「結希、やるじゃーん! あ、マルクにも紹介するね! この子ね、凄いんだよ!  私の考え、何も言ってないのに分かっちゃうんだよ! これ、超能力者ってやつだよね?  マルク、この人がきっと神父さんが言ってた"女神様"だよ!  ほら見て! 真っ白な肌に、赤い目で、銀髪で、スタイル抜群の美少女!  ね! 間違いないでしょ!?」  
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