2人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
試しに、彼の言うことに嘘は無いか読み取るが……
「俺には効かないぜ? 銀髪のねえちゃんよぉ……心を読めるのは、アンタだけじゃねえんだ」
周囲の人間からは疑問の念を感じ、その通りマルクが言った私に対する言葉に首を傾げている。
直後、マルクが脳裏で浮かべたインスピレーションが伝わってきた。
それは、近くのラブホテルでハニートラップに逢うが、その原因は美人局や逆恨みによるものではなく、陰謀じみた内容の光景だった。
ホテルの部屋に黒づくめの防弾アーマーとヘルメット、ガスマスク、自動小銃を携行した特殊部隊が何十人も押し寄せて彼を拘束。
後に、留置所で銃殺される光景……
私の知っている限りでは、彼は留置所で自殺したと報道されていた筈だが、杉谷が私に伝えた日付が正しければ、彼はあと2ヶ月後に亡くなる。
しかし彼はそれを知っているのだ。
「どうやら、俺の頭の中を読み取ったようだな。アンタに悟られないように、コイツらのカレー作るのに集中していたが、アンタの読心術には敵わねえか。神父のジジイが俺に教えた通りの事が起きるみたいだな」
カセットコンロの火を止めるマルク。
聞きたいことは山程あったが、私は勇気を振り絞って聞き出すことが出来なかった。
いま、マルクが2ヶ月後に死ぬことを口にしてしまえば、周囲が混乱する。
私の能力を持っている事をマルクは知っていた……
彼の語る神父とは、いったい……?
最初のコメントを投稿しよう!