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この瞬間、ネット掲示板を閲覧している風間 綾音もまた、悩みがあった。
このスレッドを書き込んでいる人物の記憶のみならず、不特定多数の人間の記憶。
言及をすれば、綾音から半径約500m程の人間の記憶を辿れるということ。
綾音自身も、原因は解っていない。
集中すれば、不特定多数の人間の中でも、複数人の記憶を同時で特定できたり、場合によっては短時間のみ、国外の人物であろう記憶すら辿れる。
綾音はこの能力を悩ましく、そして酷く妬んでいた。
なぜ、知りたくもない他人の記憶が解ってしまうのか。
なぜ自分の記憶も、自身が記憶を辿った人間にも把握されてしまうのか。
そして、なぜこの能力が発現してしまったのか。
彼女は一人、ネットカフェの机の上で両肘を突き、頭を抱えていた。
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