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眠りについて暫くすると、必ず夢を見る。
自分が自分じゃなくなり、誰かの生活を追体験する。
そんな彼女は入浴時、大衆浴場でなければ頭の中に別の人間のビジョンが映ることはなかった。
「やっと休める」
安堵の言葉を漏らし、レンタル用のシャワー室へ辿り着く。
脱衣所で一糸纏わぬ姿となった綾音。
肌と髪は色という概念が失われたと錯覚してしまう程、雪の様に白い。
瓢箪のように腰が括れ、すらっと伸びた長い脚。
色のみならず、そのスタイリング、目尻や顎が尖った端整な顔立ち。
その姿が映る鏡を、彼女は睨む。
「……私は、生まれ持ったこの容姿を望まない……」
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