幼なじみの一大事

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 青い空が広がり、結ばれた二人を祝福するかのように太陽が光り輝いている。鐘が合図となり、チャペルの扉が開くと、新郎と新婦が姿を現した。いっせいに拍手と歓声に包まれ、二人は照れ隠しの微笑を浮かべて階段をおりていく。  その光景を、一人の青年がまぶしそうに眺めていた。二十年来の幼なじみがずいぶん遠い存在になってしまったな。青年は目の前を通りすぎる二人に花びらを投げながら、彼女はもはや俺の知る彼女ではないのかもしれない、などと感傷に浸った。やはりくるべきじゃなかったか。改めて思う。  今日も新郎の手前、欠席するつもりが、彼女にどうしてもと頼まれてやむなく出席したのだった。 「おめでとう」  言葉にするたび、心の奥底が針で刺される。どことなくチクリと痛む。なぜだろう。複雑な気分だ。  と、彼女がチラと青年のほうに視線を投げた。いつもの無邪気なようすはなく、まるで別人のよう。純白のウエディングドレスがよく似あっている。
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