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そう言ったのは春斗だった。おびえる様子もなく、眉間にシワを寄せて、ジッと和真を見上げてくる。
「なんだぁ? このガキんちょ」
すると春斗は、涼子に目線を移してたずねた。
「コイツ、涼子のカレシか?」
「えっ!?」
「なっ!?」
涼子と和真はふたり同時にすっとんきょうな声をあげ、そろって顔を真っ赤にする。
「は、春斗くん! 和真はね、家が近所の幼なじみなの!」
なぜか動揺しながら説明する彼女を、「そうなのか?」と疑い深そうに見る幼稚園児。
「よ、幼稚園に入る前から一緒に遊んでてねっ、学校もずっと同じだから、こ、こういうの、腐れ縁って言うんだよ」
訊かれていないことまで話してしまう、しどろもどろの女子高校生。
一方、「腐れ縁かよ……」と暗い顔でブツブツ言っている男子高校生。
「それより涼子、大事な話があるから、オレの家に今から来い。この前の礼もしたい」
「別にお礼なんていらないよ。でも、わたしに大事な話って何?」
「話は家に行ってからだ。一緒に来い。そこに車を待たせてある」
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