1人が本棚に入れています
本棚に追加
「わたしもペンギン大好きだから、急いで行ったんだけど、ちょうどバックヤードに戻ってしまったところで……。そこに困っている様子の春斗くんがいたのよ」
「メソメソ泣いてたってワケか?」
和真がからかうと、春斗は口をとがらせた。
「初めてでどうしたらいいのかわからなかっただけだ! それより、おまえも水族館にいたのか、“クサレエン”?」
「そんな呼び方するんじゃねぇ! このガキんちょ!」
和真が目を吊り上げても、春斗はまったく怖がらない。
「和真、子供相手に怒鳴らないで」
春斗の質問には涼子が答える。
「わたしたちも学校の遠足だったんだけど、和真とは班が別だったから、あの時は違う場所にいたんだよ」
「高校でも遠足はあるのか」
「意外でしょ? まぁ、隣の歴史資料館にも行ったんだけどね」
そんな話をしているうちに、車は高級住宅地を走っていた。
「着いたぞ」
春斗の声で窓の外を見ると、大きな門をくぐった車が広い敷地に入っていく。
「和真! あそこにあるのって噴水じゃない!?」
「これは家なのか? 文化財じゃなく?」
最初のコメントを投稿しよう!