王様子供

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 「わたしもペンギン大好きだから、急いで行ったんだけど、ちょうどバックヤードに戻ってしまったところで……。そこに困っている様子の春斗くんがいたのよ」  「メソメソ泣いてたってワケか?」  和真がからかうと、春斗は口をとがらせた。  「初めてでどうしたらいいのかわからなかっただけだ! それより、おまえも水族館にいたのか、“クサレエン”?」  「そんな呼び方するんじゃねぇ! このガキんちょ!」  和真が目を吊り上げても、春斗はまったく怖がらない。  「和真、子供相手に怒鳴らないで」  春斗の質問には涼子が答える。  「わたしたちも学校の遠足だったんだけど、和真とは班が別だったから、あの時は違う場所にいたんだよ」  「高校でも遠足はあるのか」  「意外でしょ? まぁ、隣の歴史資料館にも行ったんだけどね」  そんな話をしているうちに、車は高級住宅地を走っていた。  「着いたぞ」  春斗の声で窓の外を見ると、大きな門をくぐった車が広い敷地に入っていく。  「和真! あそこにあるのって噴水じゃない!?」  「これは家なのか? 文化財じゃなく?」
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