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二人が興奮している間に車が玄関前に停まり、誰かが外からドアを開けてくれた。
「お帰りなさいませ」
「ただいま」
いつも通り、という態度の春斗に続いて車を降りると、二人は思わずあんぐりと口を開けてしまった。
「ヨーロッパの貴族が住んでそう……」
「こんな洋館が舞台のドラマがあったな……」
真っ白な石造りの壁に並ぶいくつもの窓。その一つ一つにドレープたっぷりのカーテンが覗いている。部屋が何十とあるのは間違いないだろう。
「白井、涼子を連れて来たぞ。もう一人は付き添いの“クサレエン”だ」
春斗はドアを開けてくれた人物と話していた。
「腐れ縁、でございますか?」
「待てコラ! 俺の名前みたいに言うな! いい加減に――むぐぐっ!?」
和真が変な声を出したのは、涼子が彼の口を手でふさいだからだ。
「和真はちょっと黙ってて。――すみません、うるさくて。彼はわたしの幼なじみで同級生なんです。急なお誘いだったので心配してついてきてくれたものですから」
「さようでございますか」
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