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春斗に白井、と呼ばれた男性は、涼子の言いたいことを察してくれたようだった。丁寧な仕草でお辞儀をする。
「本日はようこそおいでくださいました。こちらの屋敷の管理を任されております白井と申します。先日は春斗さまが大変お世話になったとうかがいました」
どうぞ中へ、と促されて入ると、一般家庭にはあり得ない玄関ホールの広さにあぜんとしてしまう。
「春斗さま、先ほどメールが届いたところですが、先にご覧になりますか?」
「うん、先に見る!」
「では、私がお客様のお相手をしておりますので」
「涼子、すぐ戻るからちょっと待ってろ」
そう言うと春斗は、返事も聞かずに行ってしまった。
「何なんだ、アイツの偉そうな態度は。まるで小さな王様だな」
呆れた様子で和真が言うのを聞いて、涼子が急にクスクスと笑い出す。
「何がおかしいんだよ」
「ちょっとね」
答えてもらえなかった和真は、憮然とするしかない。
応接間に案内された二人は、白井に紅茶を淹れてもらっていた。
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