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その部屋もやはり広く、庶民な彼らには、壁に掛けられた絵や時計、家具、手にしているティーカップのどれもが高級品なんだろうな、と想像することしかできない。
「あの、白井さん。春斗くんのご両親は海外にいらっしゃると聞いたんですけど、さっきのメールというのはもしかして……?」
「はい、旦那さまと奥さまからのメールでございます」
「よくわかったな、涼子」
「だって、さっきの春斗くんの反応、今までと違って子供らしかったんだもの」
「そうか?」
和真はよくわからなかったようだが、白井は大きくうなずいた。
「確かにそうでございましたね。旦那さまと奥さまはお仕事で海外を飛びまわっておられます。時差の関係で電話ができない場合は、メールでやり取りをされていますので、春斗さまはいつも待ち遠しいようでございます」
そして、しばらくしたところで春斗が応接間にやって来た。
「涼子、この家は気に入ったか?」
彼女の向かいのソファーに座り、真面目に訊いてくる。
「とってもステキなお家ね。あんまり大きいからびっくりしちゃった」
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