113人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
夏樹は続けて、
「ま、帰ってからのお楽しみだな」
またクルリと背を向けて、さっさと歩き出した。
「待てよ!」
「待って夏兄!」
追いかけていく秋哉と冬依。
なんだかカエデは、
『俺は……』
仲のいい来生家の兄弟たちが、少しだけ羨ましい。
他人のカエデはこの中には混じれない。
すると冬依がクルリと首をこちらに向けて、
「何してんの、行くよカエデ!」
声をかけてくれた。
「帰ってその怪我、ちゃんと手当てしなきゃ」
そういえば忘れていたけれど、カエデのこめかみには、警察官に殴られた傷がある。
これを理由に、初めて来生家にお邪魔できるのなら、
「――おう!」
カエデは、
『もしかして、殴られ得か?』
と思っている。
最初のコメントを投稿しよう!