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夏樹は続けて、 「ま、帰ってからのお楽しみだな」 またクルリと背を向けて、さっさと歩き出した。 「待てよ!」 「待って夏兄!」 追いかけていく秋哉と冬依。 なんだかカエデは、 『俺は……』 仲のいい来生家の兄弟たちが、少しだけ羨ましい。 他人のカエデはこの中には混じれない。 すると冬依がクルリと首をこちらに向けて、 「何してんの、行くよカエデ!」 声をかけてくれた。 「帰ってその怪我、ちゃんと手当てしなきゃ」 そういえば忘れていたけれど、カエデのこめかみには、警察官に殴られた傷がある。 これを理由に、初めて来生家にお邪魔できるのなら、 「――おう!」 カエデは、 『もしかして、殴られ得か?』 と思っている。
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