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それから、来生家の周りで巡回パトロールする警官の姿がちょくちょく見られるようになった。 あの夜、冬依をマンションまで送った田中という名の警察官。 夜に仕事で出かける夏樹は、その田中に職務質問までされたという。 「まあいいけどね。それにしてもなんだ? 最近はこの辺に空き巣でもいるのか?」 「……」 さすがに原因は冬依だなんて、今更いえない。 要領のいい夏樹は、そつのない受け答えで、不躾な職質をやり過ごしたらしいが。 それでなくても来生家は、これまでいくつもの物騒事件に関わっている。 特に年長組は、別に犯罪を犯すわけではないが、いつもスレスレのことをやらかす。 無駄に粋がって、国家権力に逆らっても良いことはないのだ。 だから冬依も、隙は見せられないと思った。 兄たちが警察官からの無礼な振る舞いに鉾を押さえているのに、肝心の冬依自身がヘマをやらかすわけにはいかないではないか。 辛抱強く、ただ田中の興味が来生家から他に移るのをじっと待つ。 いくら平和な日本でも、警察官も暇ではない。 たかが公園のベンチに座っていただけの冬依に、それほど時間を費やせるとは思えなかった。
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