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しかし、田中の監視は、一向に冬依の周りからなくならなかった。 田中は、冬依が登下校する際には必ず姿を見せた。 まるで冬依が学校をサボるとでも決めつけているように、学校に向かう冬依の後をずっとつけてくる。 田中が現れるようになって、すっかり夜の外出は控えた冬依だが、だからといって学校までサボるわけにはいかない。 というか、学校を休んで兄たちに監禁されているとでも誤解されたら、たまったものではない。 田中は、私服の姿でも冬依の周りに姿を現す。 制服から私服に変わったくらいで、はたまた帽子を目深にかぶったぐらいで、冬依の目はごまかせない。 「……」 冬依の後を田中がつけまわして、一体どんな意図があるのか。 冬依が田中の存在に気づいていることに、田中本人は気がついているのか? 気づいていて、なんで? もしかして冬依が、これから何かを仕出かすとでも思っているのか? 万引きとか援交とか、自殺とか。 ……バカバカしい。 それにうっとおしくて、気持ちが悪い。 ブサイクな男に後をつけられて喜ぶ人間なんて、この世にはいない。 「はぁーっ」 冬依は深いため息をつく。 しかし頼りになる兄たちに相談もできない。 物騒思考の兄たちが、もしも、警察官に手をあげでもしたら、来生家は本物の物騒家族になってしまう。
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