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しかしカエデは、
「俺は、冬依さんの側を離れるつもりはねーです」
ぶっきらぼうに言い捨てる。
それでも横を向いた頬が少し赤いのは、やはり冬依と口をきけたのが嬉しいのだろう。
たいした忠犬ぶりだ。
「この学校の中では、冬依さんを守るのは俺の役目ですから」
カエデは何故か、入学当初から冬依のボディガードをかってでている。
別にボディガードなんか必要ないのだが、カエデに言わせると、
「学校中が冬依さんに抱いてる理想をぶち壊したくねーんですよ」
ということなので、冬依も好きなようにさせておいた。
やがて冬依とカエデは、『姫と従者』『お嬢様と執事』『恋人同士』
いろいろ噂されるのだが、別にその件について冬依は否定も肯定もしていない。
カエデとどういう関係かなんて、冬依自身にもわかっていない。
だから冬依は、
「ダメだよ。カエデは邪魔だもん」
ストレートに口にする。
「さっさと秋兄を呼びに行ってよ、お願い」
ニコリと笑う。
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