7/7
115人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
エアコンの室外機に背中をぶつけて、男はダンゴ虫のように身体を丸めて痛みに呻いている。 秋哉は油断することなく、今度はバカ正直に殴りかかってきた男を待ちかまえて、振りかぶってきたのを腕で受け止め、逆に相手の顔面に拳の一発をいれた。 続けざまの一撃を喰らわせようとした瞬間に、防御しようとした相手の膝に自分の腹を突っ込ませてしまう。 バカだ、自分の体重をもろに乗せた! カエデははらはらするも、 「グッ」 秋哉は少し息を詰まらせただけで、怯む様子もなく男の足を捕まえ、身体ごと突進していく。 相手の身体を壁際に押し付け、腹の下からえぐるようなパンチをぶっこんだ。 あれはクる。 冬依から身を持って威力を教えられているカエデは、思わず同情して顔をしかめる。 そんな秋哉の背中に、今度は後ろから蹴りが飛んでくる。 相手の足裏をまともに喰らって、秋哉は壁にベシャンとぶち当たり、そのままずるずると地面に落ちる。 だが次の瞬間には、迫り来る男の足に自分の足を絡めて転ばせ、すばやく立ちあがって腹に一発。 またもや背後を狙ってきた男の蹴りを、今度は冷静に足を捕まえ、殴りかかってくるのをもう片方の手で掴み取る。 下段にねじ伏せると、空いた顎に強烈な頭突き。 別の相手から飛んできた足は、威力が勝る蹴りで撃ち落とし、脛を押さえて痛みに飛び上がる男の首根っこを脇で絞めて堕とす。 立ち上がってきたのを眼力だけですくませ、まだまだ余裕の表情で、絞めていた男の身体を放り捨てた。 真正面から拳を固めて殴り掛かってくれば、秋哉もまっすぐなストレートパンチ。 秋哉の拳を顔面に喰らって、男は両手足を広げた大の字になって伸びた。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!