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しかし秋哉の、いささか軽薄な冬依への誤解は解いておかなくてはならない。
「違う。冬依さんじゃなくて、あんたらアニキのうちの誰かがパクられたんだってさ。アニキの誰かがケンカで逮捕されたって、警察が冬依さんを呼びに来た」
「ケンカで逮捕されて、警察が迎え?」
怪訝な調子で秋哉は聞き返し、
「まさか。ウチでケンカで捕まるなんてドジ踏むのは、オレぐらいなもんだぜ」
「は?」
冗談なのか、ここは笑うところなのか、カエデには判断がつかない。
しかし、
「そのオレが、どうしてここで無事でいるんだ? その情報、ガセじゃねーのか」
そこまで言われたら、本気だと思わざるえない。
だったら、
「んなこと言われても俺もまた聞きなんだから、詳しいことは知らねーよ。でも冬依さんは『わかった』って言って下級生を帰らせた。だから誰かに心当たりでもあるんじゃねーのか?」
「心当たり?」
「ああ、警察に呼び出されるような心当たり。そのクセあんたを俺に連れて来いなんて命じて。あの人はなにを考えてんのか……」
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