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カエデの推測は真っ当なはずだが、秋哉は何かを思いついたようにさっと顔色を変える。
不器用にズボンのポケットから携帯を取り出し、操作を始める。
しかしすぐに、
「ちくしょう、電源が切られてる」
電話を下ろしてしまう。
冬依にかけたのなら、通話は繋がらない。
すでにカエデがかけているが、コール音は鳴るが、やがて電源ごと切られて繋がらなくなってしまった。
さっきからカエデはもう100回は試している。
何故だか慌てる秋哉に、
「なんでそんなに焦ってんだよ?」
カエデは尋ねる。
「警察に呼び出されたんなら冬依さんが連れて行かれたのは、せいぜい近くの警察署だろ。誰に狙われてるのかは知んねーけど、警察署の中ならどこより安全――」
すると秋哉は、
「何言ってんだ。トーイを狙ってるのは、そのオマワリ本人だぞ」
「へっ?」
教えられて、カエデは目を見開く。
「お前、気づかなかったのか? トーイはその制服着た田中って警察官に、ずっとストーカーされてたんだよ」
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