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「オマワリにストーカーされて、冬依さん、そいつにさらわれたって言うのか?」
「だからさっきからそう言ってる」
秋哉はぶっきらぼうに言い捨て、
「オマワリなら、そう無茶なことはしねーだろうが、でもどうする? ハルに連絡して、長島組に動いてもらうか? いやそれだとハルの婿養子が決まっちまう。人身御供だ」
何だかよくわからないことをぶつぶつ呟き出す。
「ナツキか? あいつの人脈なら人ひとり監禁できそうな場所ぐれー、すぐにピックアップできるが。でも派手好きだからな。ヘタすりゃ街中で大名行列ばりのパレードでもおっぱじめかねねぇ」
『なんでこんな緊急事態に、ひとり漫才?』
秋哉の言葉にはツッコミどころが多すぎて、とても間に合わない。
それにいちいち、それに乗ってやる気分にもなれない。
なんで、そんなに呑気にいられるのか。
「バカなこと言ってねーで。今いる冬依さんの場所が検索できねーでも、どこで携帯の電源が切られたのか、GPSならわかるんじゃねーのか?」
カエデが言ってやると、
「それだ!」
秋哉は手を打って、さっき捨てたばかりの自分の携帯を拾い上げる。
しかし、
「やべぇ電源が入らねぇ。……壊れた」
「あんたはバカか!」
上級生だとか冬依の兄だとか、そういった遠慮は全部飛んだ。
カエデの生涯最大のツッコミが飛ぶ。
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