7/8

115人が本棚に入れています
本棚に追加
/94ページ
「オマワリにストーカーされて、冬依さん、そいつにさらわれたって言うのか?」 「だからさっきからそう言ってる」 秋哉はぶっきらぼうに言い捨て、 「オマワリなら、そう無茶なことはしねーだろうが、でもどうする? ハルに連絡して、長島組に動いてもらうか? いやそれだとハルの婿養子が決まっちまう。人身御供だ」 何だかよくわからないことをぶつぶつ呟き出す。 「ナツキか? あいつの人脈なら人ひとり監禁できそうな場所ぐれー、すぐにピックアップできるが。でも派手好きだからな。ヘタすりゃ街中で大名行列ばりのパレードでもおっぱじめかねねぇ」 『なんでこんな緊急事態に、ひとり漫才?』 秋哉の言葉にはツッコミどころが多すぎて、とても間に合わない。 それにいちいち、それに乗ってやる気分にもなれない。 なんで、そんなに呑気にいられるのか。 「バカなこと言ってねーで。今いる冬依さんの場所が検索できねーでも、どこで携帯の電源が切られたのか、GPSならわかるんじゃねーのか?」 カエデが言ってやると、 「それだ!」 秋哉は手を打って、さっき捨てたばかりの自分の携帯を拾い上げる。 しかし、 「やべぇ電源が入らねぇ。……壊れた」 「あんたはバカか!」 上級生だとか冬依の兄だとか、そういった遠慮は全部飛んだ。 カエデの生涯最大のツッコミが飛ぶ。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加