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「家のパソコン使えば探せるんだよ。それに冬依からの伝言か、もしくは最後の通話記録が残ってるかもしれねぇ」
秋哉の携帯が無事なら、どれもこの場で確認できたことである。
「あんたはバカだ!」
カエデはもう一度暴言を叫ぶが、秋哉はスルーで、
「お前はこの辺りを探し続けてくれ。冬依の居場所に見当がつき次第すぐ連絡をいれる。オレはいったん家に帰ってGPSが切れた場所を確認する」
そう言って、今度は自宅に向かって猛ダッシュで走っていく。
カエデも、
「おう、待ってる!」
叫んで、秋哉とは反対方向に走り出してから、
「あっ、てめぇ俺の連絡先、知らねーだろうが!」
思いついて振り返ってみたが、もう秋哉はカエデの視界から消えていた。
秋哉の足の速さはおりがみつきだ。
だからこそ、ふたり揃って『バカ』なことに腹が立ってくる。
『ブレーン(頭脳)がいなきゃ、ダメだ俺たちは』
カエデは首を振って、見えなくなった秋哉の背中を探す。
「ちくしょう!」
そんでそのブレーンは、やっぱあんただ冬依さん!
あてもなく街をさまようより冬依のマンションに行った方が正解だと、秋哉が姿を消したのと同じ方向に走り出す。
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