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そして連れて来られた先が、取り壊しを待つビルの地下。 携帯の電波が届かなくなり、やっと着信が止まったことにはホッとしたが、よもや秋哉が自分の携帯を壊してしまっているとは思いもしない。 GPSでこのビルまでは追えるはずだから、そう待たずとも秋哉の助けが来るはずだ。 冬依は比較的のんびりとした気分で、田中に従っている。 ヘンタイ田中は、車から降りるとき、手錠で逃げられない冬依の首に重ねて犬の首輪をつけた。 その後、後ろ手に手錠をかけなおして、この地下まで連行する。 いつから、この計画を練っていたのだろう。 地下の一室にはソファーやテーブル、そしてベッドまで持ち込まれていた。 そしてベッドの足に冬依の首から伸びた鎖を繋げると、田中は、 「もう二三日の辛抱だよ。二三日したら、冬依くんをちゃんと外に出してあげる」 確信めいた田中の言葉に、 「この二三日の間に、何があるのさ」 冬依が聞いてみれば、 「ん? 教えたじゃないか。冬依くんのお兄さん達がケンカで怪我をして運ばれるって」
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