116人が本棚に入れています
本棚に追加
そして連れて来られた先が、取り壊しを待つビルの地下。
携帯の電波が届かなくなり、やっと着信が止まったことにはホッとしたが、よもや秋哉が自分の携帯を壊してしまっているとは思いもしない。
GPSでこのビルまでは追えるはずだから、そう待たずとも秋哉の助けが来るはずだ。
冬依は比較的のんびりとした気分で、田中に従っている。
ヘンタイ田中は、車から降りるとき、手錠で逃げられない冬依の首に重ねて犬の首輪をつけた。
その後、後ろ手に手錠をかけなおして、この地下まで連行する。
いつから、この計画を練っていたのだろう。
地下の一室にはソファーやテーブル、そしてベッドまで持ち込まれていた。
そしてベッドの足に冬依の首から伸びた鎖を繋げると、田中は、
「もう二三日の辛抱だよ。二三日したら、冬依くんをちゃんと外に出してあげる」
確信めいた田中の言葉に、
「この二三日の間に、何があるのさ」
冬依が聞いてみれば、
「ん? 教えたじゃないか。冬依くんのお兄さん達がケンカで怪我をして運ばれるって」
最初のコメントを投稿しよう!