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エピローグ
そしてカエデは来生家で、『鬼』を見た。
赤鬼青鬼、幼少時からの記憶を総動員しても、それ以上の『鬼』は見たことがなく、
「……俺に、何か言うことがあるだろう」
そのたったひとりの男が発する問いに、ピャッと背筋のばす、夏樹と秋哉と冬依。
男の問いに対し、誰が真っ先に口を開くのか、三人がそれぞれに落ち着かない視線を交わしあっている。
「……」
息が詰まる緊張。
無言。
とたん、
――ドン!――
男が叩いたテーブルの音に、カエデまでビクリと反応してしまう。
『何もんだ、あいつ』
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