第1章

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ウニが好きだ 寿司屋では、必ず頼む 好きだが、あの外見は、どうかと思う いかにも毒々しく、刺々しい 「食ったら死ぬぞ!」と言わんばかりだ。  最初にあれを食った奴は、どうかしてる、と思う 彼も一か八かであっただろう これは、薬草と同じ事情だ。 最初は薬か毒か、分からないから、 まずは、煎じて飲んでみて、 治るか死ぬ。結果、死ねばそれまでだが、「治れば」その有効性が後世へ伝わり、薬草のデータベースに書き加えられる ウニを食った彼も、生き延び、「うまい」と周囲に伝えた為、 今、私の目の前の軍艦巻きは、存在している。しかし、「ウニを食べる国」は決して多くはないらしい何故だろう? まあ、あの外見では、「一か八かの賭け」はリスクが大き過ぎると思うのも無理は無かろう。特に陸地に豊富な資源を持つ民は、わざわざ、海でリスクを負う必要が無い  日本は、農業立国である為か、酪農文化が、育たなかった国であるので農作物以外の食材は、必然的に海に求めざるを得なかったのだろう、その為、ウニだろうが、フグだろうが、あん肝だろうが、海をくまなく食い尽くそうとしたのだろう。 酪農文化が育たなかった理由は、酪農の母体となるはずの、山の民(縄文人=狩猟民族)の文化が里の民つまり農耕民族(弥生人)に、滅ぼされてしまったのだろうか?  僕はこうして、日本の先史時代を思う時、不思議でたまらない事がある。 教科書には、「縄文」と「弥生」しか載って無いが、きっと、教科書には、載っていない、もう一つの民族がいた筈だ、前述のウニ食った彼が属す、「海洋民族」だ。 「海彦・山彦」 の民話が有る以上、彼らはきっと居た。 では、何処へ行ったのだろうか? 海賊に成って7つの海を荒らし尽くしたろうか? あるいは、海を介した交易で、いち早く農耕を覚え、弥生の民の祖と成るべく、内陸へ攻め入り日本を席巻したろうか? 古代史には、文書資料という物的証拠が無い為、この程度の妄想は、許容範囲の筈だ、また、そこが、古代史の醍醐味なのだ。
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