第1章

12/16
前へ
/16ページ
次へ
赤い手袋。 片方だけ。 そうだ、なぜか大切な大切なものだって思って、机の引き出しにしまっていたはず。 その手袋を見たら、わけもなく泣きたくなるから、見えないように箱にしまって・・・。 忘れていたけど忘れていなかった。 私とあの人を繋ぐもの。 そっと取り出して蓋を開ける。 小さな赤い手袋。 あの人の瞳の色と同じだ。 そう思った瞬間、頭の中で記憶が弾ける。 弾けた記憶は洪水になって、私の全身を駆け巡った。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加