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まるでうれしくないお世辞を、バカでかい声で響かせないでよね。それと、ヒュー、とか聞いてるこっちが恥ずかしくなるんだけど。
うう。みんなの視線が痛い。
「ところで、宇佐見くん。なんの用かしら?」
早いとこ用件を聞きだそう。宇佐見くんと一緒にいると、わたしまで変人扱いされてしまう。
「チェケラ! YO YO よく聞いてくれたZE」
「あの、急いでくれる? 授業がはじまるから」
「OK YA YA YA 宿題見せてくれYO」
「イヤよ」
「OH YA クレイジー! POW!」
「だって、わたしになんのメリットもないし」
わたしはそっけない態度で、宇佐見くんに目配せし、
「おはようございます、先生」
最高の笑顔を浮かべる担任に頭を下げた。
「宇佐見、一緒に職員室に行こうか」
「チェケラッチョ! POW!」
担任に襟首をつかまれそうになった宇佐見くんはとっさに一八〇度ターンを決め、ムーンウォークで逃げていく。
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