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暗闇で大きな溜め息を吐いて、返信する。
『何時に何処に行けば良いんだ?』
あれから数年。
今更、どんな顔をして会えば良いんだ?と思いながらも、佳奈ちゃんがどんな状況かわからないのに無下に断れないじゃないか、と自分に言い訳するみたいな事を考えて。
我ながら、馬鹿だと思う。
『今から下記の住所に来てくれ。一緒に病院に行こう』
直ぐにまた来たメール。
は?あいつ、馬鹿なの?
『こんな夜中に面会出来る訳、無いだろうが』
そう送る。
それとも、そんなに悪いのか?危篤?
と、明日朝一で行くから、今から来い、との返事。
なんだよ、脅かすなよ、アホか本当に。
なら朝に行く、と返して携帯の電源を落とす。
この携帯は、当時の友達しか登録しておらず、普段使いのものでは無いから、1日一回、寝る前に電源を入れて確認するだけ。
だから何時もの通りなんだけど……。
行く、なんてメールを返しちゃったからか、何故か気になってしまった。
でも電源は入れない。
大好きで、言えなくて、何も話さずに離れてしまった人。
ずっと忘れられなくて、それでも、親友の関係を壊したくなくて。
離れた時点で、親友では無くなってるだろうに、何時までもその関係にしがみついていた。
今の俺を見たら、あいつはどんな顔をするだろうか。
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