再会

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稜也は運転席に座り直し、もう丈夫なのか?と聞いてくる。 「まだリハビリ中。大学では男性恐怖症って公言してるし配慮して貰ってるから、なんとか通えてるけど」 ある事件、とは、俺が襲われてレイプされそうになった事件で。 幸い稜也が直ぐに気付いて駆け付けてくれて、押さえ付けられた所で助けられたから、服さえ脱がされていなかったけど。 あの恐怖はトラウマになった。 カウンセリングを受けてはみたけれど、怖くて部屋から出られなくなって。 新ちゃんと昌くんが来てくれなかったら、命を絶っていたかもしれない。 そう言えば、こんなシチュエーションでも、稜也は怖くなかったな。 ぼんやりとしていると、俺の返事に今度は、何処の大学?と稜也。 質問ばっかりだなぁ、仕方無いのかもしれないけど。 「内緒。再会して早々に話しも無しで、いきなり唇奪う奴になんて教えない。そう言う稜也は何処の大学なのさ?」 どうせ真似して内緒とか言うんだろ、と思いながら聞いてみると、医大、と答えた。 思わず稜也を見ると、フ、と微笑む。 「お前の事があって、何の力にもなれない自分が嫌だったからさ。医師なら、身体も心も受け止められるかと」 「は?それで進路を決めたの?」 「まぁな。だからこれから早雪は、俺が診てやる」 ドヤ顔の稜也に溜め息を吐いて、ばーか、とそっぽを向く。 「ちゃんと主治医がついてるから、間に合ってるよ」 そうか残念だ、と肩を竦めた稜也は、エンジンをかけて車を走らせる。
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