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少女の問いに頷き返すと少女は俯いてしまった。
……アレ?返答ミスった?と思い少女の様子を見守っていると身体が小刻みに震えていることに気がつく。
下から覗き込むと涙を流しているのが見えたので焦って少女に問いかける。
「ご、ごめん! やっぱり迷惑だったかな……」
俺が謝ると少女は首を横に振り、顔を上げた。
「ううん、違うの……。誰かにそこまで信じてもらえたのが初めてで嬉しくて……」
涙を拭い、なんとか笑顔を作りながら少女は言葉を紡ぐ。
「いつもはね、気味悪がられたり適当に流されたりしてまともに話を聞いてくれる人は少ないんだ」
笑顔になったのもつかの間、また少し悲しそうな顔になる少女。
しかしすぐさま笑顔に戻り言葉を続ける。
「でも君は私の話を真剣に聞いてくれて、さらに私のことを信じてくれるとまで言ってくれた。 君にとってはなんでもないことかもしれないけれど私にとってはすごい嬉しいことなんだ」
真正面から褒められたせいで顔が熱を帯びる。
赤くなった顔を少女に見られまいと顔を背ける。
顔を背けた先にちょうど時計があり時刻を確認すると門限の時刻に迫っていることに気付く。
「ごめん、そろそろ門限だから帰らないといけないや……」
少女と別れるのは名残惜しいが門限も守らなければいけないので少女に別れを告げる。
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