彼女がオジサンになってしまいました……

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「今からでも遅くない、穿かせてこい」 「嫌です!」 「仕方あるまい。もしも行ってくれるならワシのパンツを」 「何故オジサンパンツで釣れると思った!?何故学習しない!?」 「仕方ないのぉ。三千円やるから行って来い」 「費用対効果って知ってますかぁ?とにかく、僕は何と言われようが行きませんからね!」 僕がそう言うとオジサンは、ハナさんが今まで見せたことがないような表情で、僕を睨みつけた。 「ハナの事、見捨てるんか?」 「いや見捨てるとか、そういう話では無いじゃないですか」 「そういう話じゃ。ここで行けんかったらな、結局見捨てるっちゅうことじゃ!」 見捨てる?ハナさんの事を? 確かに僕は、彼女の姿をまともに見ることが出来なかった。いつも優しかった彼女に、優しく出来なかった。それがハナさんを見捨てた事になるのだろうか? その答えは目に見えていた。なぜなら僕は、オジサンの姿をまともに見ることが出来なくなったからだ。 「……今日は帰ります。元の体に戻ったら連絡してください」 「あ!こら!待たんかい!!」 叫ぶオジサンに背を向けて、僕は彼女の家を出た。見たくない現実を、全て置き去りにして。
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