妄想と野心の境界。

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最悪だ…この世の終わりだ…。 『皇帝陛下万歳!!。皇帝陛下万歳!!。皇帝陛下万々歳!!』。 『地球帝国万歳!!。皇帝陛下万歳!!。皇帝陛下万々歳!!』。 …地を埋め尽くす“帝国臣民”が。皇宮のバルコニーから。この世の全てを見下ろしている。僕の妹…地球帝国の初代皇帝に向かって歓呼の声を上げる様を。僕は皇帝陛下の横に控えながら。呆然と眺めていました…。 『兄様。兄様も“臣民共”に答えてあげて下さい』。 『…はい。皇帝陛下…』。 僕は妹である皇帝陛下に促されて。ノロノロと手を上げて臣民達の歓呼の声に答えましたが…。 『地球帝国万歳!!。帝国執政閣下万歳!!』。 『良かったですね。兄様。“臣民共”も。私の兄である兄様が。我が帝国の序列第二位であると理解しているようです♪』。 僕の妹である皇帝陛下がそう仰られて。“臣民共”に向かい手を振ると。地を埋め尽くす歓呼の声が更に大きくなり。 『皇帝陛下万歳!!。帝国執政閣下万歳!!。地球帝国よ永遠なれ!!』。 『まさに万雷の歓呼の声ですね。兄様♪』。 『…はい。皇帝陛下』。 僕は…。皇帝陛下が。妹が。無制限の権力と権限を持った専制君主になりたいと。妹が幼い時に言った際に…。 『それは素敵な夢ですね。実現すると良いと思いますね』。 僕はそう言って。妹の頭を優しく撫でてあげました…。その結果が…。 『皇帝陛下万歳!!。皇帝陛下万歳!!。皇帝陛下万々歳!!』。 『兄様♪。全てが。この全てが私達兄妹の物です。この世の全てが私達の物です♪』。 『皇帝陛下万歳!!。帝国執政閣下万歳!!。地球帝国万歳!!』。 『…はい。皇帝陛下。この全てが陛下の物です…』。 地を埋め尽くす“臣民共”の。万雷の歓呼の声を聞きながら。僕は目の前が真っ暗になるような気がしました。
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