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「おい止まれー!」
「間もなく火が回るぞ!」
「君戻れ戻るんだッ!」
「死ぬ気か!?」
口々に叫ぶ彼らの怒声を振り切って、熱風が吹き荒ぶエントランスへと飛び込んだ。
炎の中へ浸入したのなど、初めての経験で、そこが想像を絶する熱さなのは、当然だった。
濡らした服などあっという間に水蒸気と化して蒸発して乾いた。
素肌を晒している顔が溶けるのではないかと思えるほど異様に熱い。
やはり無謀だったか?ほんの少しだけ後悔がもたげた時、さっと何かがボクの傍を通り過ぎる。
風か?そう思えるほど、それは姿を認識させる間もなく、階段を滑る様に消え失せた。
ボクも行ける筈だ!勇気を振り絞って後を追う。
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