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業務用搬入エレベーターが到着して、フーッと安堵の溜め息を吐いた瞬間、Σハッとボクは目が覚めた。
なんだー!?ボクはまだ、杏奈を背負ったまま、さっきの場所に立ち尽くしていた。
こんな危険な場面で意識が飛んでトランスしていたっていうのか?!
どうしよう。でも、悩んで考えている余裕などないのは判ってる。いや、ホントはよくは判らないけど、たった今視たvisionを信じるしかない。
杏奈を背負い直すと、真正面の通路を左手に曲がる。
ドドーン!
何かの爆発音がして大きく建物が揺れる。
と同時に後方で、通路の右手で、通路の正面方向で、いやフロアー内のあちこちで、物や棚が崩れたり、床が崩落したりする大轟音が鳴り響いた。
先程まで視ていたvisionは、音の無いサイレント映画みたいだったから、意外と冷静に視ていられた。
でもリアルな状況下において、胃の中にまで反響している地響きを体験してみると、めっちゃめちゃおっかなくて超絶ヤバイと思う。
ヤバイといってもカッコイイって意味じゃなくて、本当の意味でヤバイんだ。
そんなの解ってるって?あっそうだよね。
とにかく、ボクはかろうじて奇跡的に確保されている逃走経路を駆け足で走り抜けた。
奥の従業員用出入り口に飛び込むと、確かにさっき視た通り、業務用エレベーターがその先に現れた。
本当に動くだろうか?だってさっきのあの爆発は想定外だ。
上階へ上がる上矢印ボタンを恐る恐る押すと、無事にランプが点灯した。
カゴが到着するまでの十数秒をヤキモキしながら待っていると、チーン♪という心地よい音を響かせて業務用搬入エレベーターが到着した。
フーッ。安堵の溜め息を吐いて乗り込み、どの階数ボタンを押そうか迷った瞬間、Σウワッ!今度はボクの上半身の肩口から複数の手がニョキニョキと蟹みたいに生えたかと思うと、1階、2階、3階、地下3階、R(屋上)のボタンを同時に押した。
こんな所でまたvisionか?
しかし、自分の身体だけど我ながらキモい。
1人目のボクのvision
1階で降りる。→次の28ページへ進む
2人目のボクのvision
2階で降りる。→29ページへ進む
3人目のボクのvision
地下3階で降りる。→30ページへ進む
4人目のボクのvision
R(屋上)で降りる。→31ページへ進む
さあ、さっきの要領を思い出して、キミはキミ自身の選択で、今度はボクの4つのvisionを視て、思考して、進んでくれ!
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