33人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、ボクはvisionから覚めた。
今回は、選択肢に正しい答えなんかないんじゃないのか?
たった今視覚感知した以外のフロアーに移動するというのも一つの選択肢だよな。
そうも思ったが、いや待てよ。よくよく考えたら、ここは日本だぞ。
もしかしたらあの兵士達は、ボク達を助けてくれるのかも知れない。
そう思い直したボクは、自分の能力を信じることにした。
「そこのオマエ、動くな!動くと容赦なく撃つゾ!」
↑そして、いまココ。
やっぱり無数のレーザー照準光が、ボクのドキドキしている心臓を完璧に捉えている。
浅はかな自分の考えと、使えない自分の能力を恨む。
こんな物騒な連中を前にして、頼まれたって動く訳がない。
「よーし、静かに両手を上げて、頭の上に乗せろ!」
言われた通り、両手を上げた所、ドサッと杏奈がボクの背中からズリ落ちた。当然だ。
ズギューン!
本当に容赦なく撃ち放たれた弾丸が、ボクの直ぐ足元で跳弾する。
「アイタ~。どこココ?」
タイミングの悪いところで杏奈が目を覚ました。
「あれ・・・長崎?さっき別れなかったっけ?」
「よっ、実はさ…」
「勝手に話すんじゃない!」
さっきの隊長格にどやしつけられる。
「なによー男子ィ!あんた達勝手にあたしをサバゲーなんかに巻き込まないでよねー!」
「バカ、サバゲーなんかじゃ…」
「黙れと言っとるんだ!」
隊長格がもはやキレ気味に怒鳴る。
「なによ…」
「杏奈…本物だ!」
ボクが囁く。
「本物?」
ズギューン!
「ひっ!」
また足元に威嚇の1発。でもさっきよりずっと近くで跳ねる。
「貴様ら、口で言っても分からんかー!?」
「喋りません!」
仕方なくボクが降参する。
まぁ、元々ボクは降参してたけどね。
最初のコメントを投稿しよう!