nobody knows

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その日の朝、巨大なキノコ雲が頭上に湧き上がる様に生まれていた。 雲海を突き抜けてきた数機の航空機が墜落してきて、空中で停止した。 逃げ惑っていた人々が呆気にとられて上を見上げると、地上2、3000メートルの付近に、車や航空機、列車など、鉄で作られた様々な物質が引き寄せられ、空中に溜まり始めていた。 「あの高度一帯に強力な磁場が発生しているんだ。」 誰かが叫ぶ。 だが、その理由までは誰にも解らない。 北朝鮮の開発したという新型の水爆の威力だろう、 いやアメリカの新型兵器に違いない、 それよりも地球の気象が狂い始めているのさ、 まもなく跡形もなくこの星は爆発して消え失せるのだ、 と様々な憶測を呼んでいた。 上空では常にギシギシという耳を覆いたくなる様な不気味な軋み音がして、その度に真下にいる市民を畏怖させた。 いつこの磁場から解放され、上空から全ての物体が落下してくるかもしれないと考えたら気が気ではない。 もしそんなことになったなら、ボクはとても生きている自信がなかった。 燃料を積んだ車両が次々と誘爆を起こし、きっと下にいる誰もが助からないだろう。 ネットを開いてニュースで状況を調べようとしたものの、磁場の影響からか、インターネットはおろか、電話すらも繋がらない。 しばらくして、警察や自衛隊、アメリカ空軍の哨戒機やヘリコプターが、偵察に飛んできたものの、そのうちの幾つかは直ぐにキノコ雲の中に捕まってしまった。 馬鹿なのかな?皆で苦笑したものの、勿論ボク達にもどうしたらよいのか妙案を出せる者はいなかった。 昼過ぎまでには、都心部では外出は極力避け、地下道を使う様にという、戒厳令が施行された。 表を歩かなければならない時には、ヘルメットの着用が義務付けられ、一家に数個が支給されたが、こんなものじゃただの気休め程度でしかならない。 でも、それでも無いよりはマシだと、思い込むしかなかった。 これから何かが起こる前兆なのだろうか? それから何をするにも手につかず、いつのまにかあの空をずっと見上げ続けてしまう。 「最悪だ…この世の終わりだよ…」 ボクは、これまで見たことのないその光景を目にして、愕然と呟いた。
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