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「なあ、あのキノコ雲一体何なんだろうな?」
ボクは教室の窓から見えるあの空を眺めながら、親友の関 和誠に尋ねた。
数日後、戒厳令が緩和されたので、学校に来てはみたものの、半数以上の生徒や先生が休んでしまった為、急遽、当面の間は休校となってしまった。
「さあな。俺なんかに解る訳ないじゃん。」
ろくに考えもせず、関は答える。
「あのなぁ~あんな事になってるのに、少しは不安にならないワケ?」
「おまえが大体考え過ぎなんだよ。俺たちみたいな高校生が、そんなに考えても仕方がないじゃないか。ああいうのは、政府や科学者の偉い人がなんとかしてくれるさ。」
相変わらずのほほんとして、関は答えた。
こいつ、むしろこの状況を愉しんでさえいるんじゃないだろうか?
「おまえ、映画マニアだろ?少しは想像を働かせろよ!」
毎晩夜も寝られない程考えているボクは、楽天家の奴が無性に腹立たしくなった。
「判ったよ。ウーンそうだなぁ。こういう場合はだな・・・実は」
「(ゴクン)うん」
「おまえの空想だった、みたいな(笑)」
「夢落ちかよッ?!」
「お約束だろ?」
「それは禁じ手だな。」
「きびしーww」
ホント馬鹿だなコイツ。でも、おかげでボクを雁字搦めにしていたよく判らない緊張感が何処かへ消え失せてしまった。
実際、ボクは考え過ぎてしまっていたのかもしれないな。
関の言う様にこれはすべて夢で、朝起きた所でいつもの毎日が始まったなら、どれだけいいだろう。
そして、結局またボクは妄想に耽り始めていた。
「おい、もう帰ろうぜ?」
関が鞄とヘルメットを手に立ち上がった。
「俺はもうちょっとここにいるよ。」
もう少し考えたい事があった。
「そうか?じゃあまた休み明けにな!」
「ああ。いつになるか判らないけどね。」
「そういえばそうだよな。誰がその休み明けを決めるんだ?」
「学校のお偉いさんだろ?」
関の解答でそのまま回答する。
「ぞうかもなw。まあいいや。じゃあな。」
「またね。」
ボク達は教室で別れた。
この時はまだ、これが永遠の別れになるだなんて、知る由もなかったのだけれど。
なーんて、オチを妄想をしたりしてさ。
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