nobody knows

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学校に着いてから、昇降口を廊下へ抜け、生徒たちが集まるピロティーへ向かうと数人の知り合いがいた。 その中のひとりクラスメイトの鵠沼杏奈が、ボクを見ると、歩いて来た。彼女もまた例の女子バスの一員である。 「なぁさっきの沢山のサイレンの音、何だったんだ?」 「駅前の雑居ビルの猫カフェから火が出たんだって。」 「猫カフェ?」 「そうだよ。丁度通りがかりに観たって子がいて、LINEでその話題で持ちきりだったもん。ビルの出入り口から猫の大群が飛び出して来て、凄かったんだってー!」 「マジかよ!?」 「死にそうな時は猫も必死になるんだね。」 「そりゃあ死にたくないのは、人も猫も一緒だからな。」 「でも猫はみんな助かったのに、ひとは何人か煙に巻かれちゃったらしいの。」 「低いところ程、煙は少ないっていうしね。背が高い分、煙に巻かれて一酸化炭素中毒になり易いんだろう。」 「そうなんだー。で、あんたは何してるの?」 「いや、学校に何かあったんじゃないかと思ったんで、急いで戻って来たんだ。」 「心配性だねえ~?誰か気になる人でもいるのかな?」 杏奈が悪戯っぽい目で茶化す。 「そ、そんなんじゃねーよ!」 「ホントかなぁ~?」 「嘘じゃねえっつーの。そんなことより、なにが原因なんだ?」 ボクは誤魔化す為に元の話に戻そうとした。 「その原因っていうのが問題でさ~。」 「問題?」 「うん。ほら上の雲に車とかが張り付いてるじゃん?」 「ああ。」 「あそこからガソリンとかの燃料が漏れて落ちてきてるんだって。で溜まってた所に放火されたとからしいよ。」 「マジで!?」 「うん。ネットニュースの記事に出てる。」 「危ねえなぁ。もし空に引火したらどうなるんだよ。」 「Σ空が燃えちゃう?怖すぎて考えたくない。」 「燃え尽きたら、その残骸も堕ちてくるだろうしな。」 「めっちゃヤバくない?」 「ヤバいなんてモンじゃない。あちこちに炎の雨が降り注ぐよ。」 「エーうちの真上にも観光バスが有るんだよ。」 「俺のうちなんて新幹線だ。まあそうそうヤル奴もいないだろうけどね。」 しかし、911の時の事を考えたら、テロ被害はあの時の比ではない大惨事となりそうだ。 大体、雷や空気中の静電気なんかが、気化した燃料に引火する可能性だって十分あり得る。 「うん。だよね。」
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