Side カンナ

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最悪だ……、この世の終わりだ……。 私は成績優秀クラスの人気者、その上超絶美人ときてる。 スタイルも抜群だし月に二度は誰かしら告白してくるし、連絡先を聞かれるなんてしょっちゅうだ。 その私が、テスト中におならをしたらどうだろう。 今までの私のイメージが押し寄せる波に無残にも崩れさる砂のお城のようにボロボロになるだろう。落城だ。 みんなは言うだろう。カンナちゃんがおならなんてするはずないよ、カンナちゃんはウンコもしないみんなの女神。だからきっと隣の才崎さんがしたんだよ、と。 才崎さんはいい人だし明るく愛嬌もあって私もとても好きだ。でもブスだ。 おならをするなら当然、彼女の方となる。 私はおならなんてしない学校のマドンナ。 今までイメージを崩さないために気をつけてきた。 世間の言う『女子力』なるものを日々虎視眈眈と身につけてきたのだ。 私はそんなつもりはなかった。ただみんなにチヤホヤされたかっただけだ。 『女子力』なんて言葉にして自己顕示欲ムンムンな奴って思われたくないし。 そんなことよりまずい。 ガスが私の門を叩く。 この破城槌はこのテストに書かれているなんとかっていうお城なんてすぐに落とせるくらいの力を持ってるだろうに。 なぜ現代に現れたのだ、この破城槌は。 ちょっと待て。最近ネットで見たしょうもない記事にこんなことが書かれていたっけ。 おならをしようと思いっきり出したらウンコが出たって。 今私の門を叩いているこの破城槌は本当にガスか? 仮にウンコが変化の術を使えたとしよう。 私の門番はそれを見破ることができるのか? いよいよテストなんかやってる場合じゃあなくなってきた。 助けてくれる人なんていない。 さっきも考えてたけど、一番うまくやり過ごすにはやっぱりすかしっ屁だ。 すかしっ屁は臭いがキツイ傾向があるってテレビかなんかで見たけど大丈夫。 私は学校のマドンナ。 みんな私がすかしっ屁するなんて思わない。 よし、ゆっくり……力み過ぎないように……お尻に…… 「あと十分」 ブッ!
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