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まずい。非常にまずい。
今やっているテストは全く問題ない。
ちゃんと勉強してきたし、見れば分かる問題ばっかりだ。
日本史なんて簡単だ。楽勝。
今まずいのはそんなことじゃない。
僕は今、とてもおならがしたい。
でもこんな静かな中でおならをするなんてクラスの笑われ者だ。
今までのイメージが崩れてしまうに違いない。
このテストに出てくる日本の偉人たちも、大事な場面でおならをしたくなったりはしたのだろうか。
もしした場合、切腹とかさせられたのだろうか。
偉人たちよ、僕もついに、あなた達と同じ立場に立てたような気がします。
実際、男子達にはおならなんか聞かれても全く問題はない。
これが休み時間とかなら大いにぶっ放す。
でも今は席についている。
神崎先生が独断と偏見で決めたこの席に。
今までこの席には満足していた。
先生がこの席を発表した時、僕はあなたに一生ついていくと決めたくらいだ。
先生を神の生まれ変わりかと思うくらいに感謝した。
だが今はそれが仇となっている。
僕の後ろの席にはカンナがいる。
今おならをしたらカンナにその臭いが直撃し、僕は彼女に嫌われるだろう。
そんな酷い話があるか。
今まで一生懸命関係を築いてきたのに。
部活のない日は一緒に帰るよう誘ったり、休みの日は遊びに行こうとまで。
そうだ、僕はカンナが好きだ。
だけど悲しいことに今の段階では脈はない。
まぁまだ出会って三ヶ月だ。仕方ない。
でもおならをしたらアウトだ。
脈が無くなるどころか死体もこの世に残らない。
最悪だ……、この世の終わりだ……
テスト終了まであと十分ちょっと。
テストも終わってるしこのまま耐えることに専念すればやり過ごせる。
ケツに力を入れて十分間耐えるんだ。
よし、やってみせる。
俺はこの逆境を乗り越えて……
「あと十分」
ブッ!
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