勇者サイアクダの伝説

4/5
前へ
/5ページ
次へ
「とは言ったものの、魔王を倒すためには、まず何をすればいいんだ?」 冒険の旅が始まった矢先に、カイヌがそんなことを言い出した。 「カイヌ、司祭様が以前ちゃんと説明してくださったじゃないですか。聞いていなかったのですか?」 「あぁ悪い。俺たぶん、その時寝てたわ」 「オラもだ」 カイヌとサルーニャは、腕っぷしこそ達者なものの、おつむの働きはからっきしなのであった。 「やれやれ、カイヌもサルーニャも、しょうがないですねぇ……」 三人の中で唯一まじめなタキジリンは大きなため息をつき、説明を始めた。 「いいですか? まず、魔王ネガティブと戦うには中央大陸に渡らなければなりませんが、あそこの周りには強力な結界が張られています。なので、まずはその結界を解かねばなりません」 「ほうほう、なるほど」 「そのためにまず、東西南北の各大陸にいる四天王を倒す必要があります。しかも四天王を倒すためには、それぞれの大陸のどこかに幽閉されている歌姫たちを救い出し、歌の力で四天王を弱体化してもらわなければいけません」 「ふむふむ、それで?」 「四天王を倒すことができれば、古代都市に封印された伝説の魔導士シドマを復活させることができます。その後、魔導士シドマの力を借りて、宇宙へ飛び立ちます」 「なるほ……え、宇宙?」 「北極星へと向かい、そこで宇宙の支配者である暗黒王を倒し、次元の鍵を手に入れるのです。そしてブラックホールで鍵を使って、次元の狭間へと向かい、次元の神オーディウスを倒せば、中央大陸の結界は解けるはずです」 「魔王と戦うためには、魔王の百倍は強そうな奴らを倒さなきゃならないのか……」 「それより、やること多すぎじゃねえべか? 尺が足りなくなるんでねえか?」 「確かに、公式イベントのルールで、長くても10000文字以内に抑えなければいけませんからね」 「おいおい、もう2500字越えてるじゃねえか! 全部やってる暇ないぞ!」 なんということだろう。勇者サイアクダと、三人の戦士たちに残された時間は、もうほんのわずかしかないのであった。 「とりあえず、旅を始める前に、この作品をどういう内容にまとめるのかを、話し合う必要があるようですね」 「んだんだ。ペース配分が重要だべ」 三人の戦士と一人の空気は、うんうんとうなずいた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加