序章「異世界だから!」

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ハル「知らないって‥‥‥‥‥それじゃ行きようがないじゃないか」 カオリ「知らないって言うか~口で説明しにくいというか~。行けば分かるわ行けば~」 ハル「いやいやいやいや、その、あるだろ?色々こう手続きみたいのがさ」 カオリ「そういうのは向こうで全部やってくれるから~。ハルくんは、そこに行くだけでいいのよ~?行くだけ!行くだけだから!」 うん。その話聞く限りだととりあえずヤバい所を想像しちゃうんだが? ハル「その‥‥‥‥さすがの俺も裏世界みたいなヤバい所は御免だぞ?ヤクザとかそういう系のは」 カオリ「あぁ~大丈夫大丈夫。裏世界みたいな危ない所じゃないから!異世界!異世界だから!」 ハル「異世界‥‥‥‥‥異世界ねぇ」 この時母さんが言っていた【異世界】という単語。 俺はてっきり『異世界のような非日常な体験が出来る場所』的なことを言っているのだと思い特に気にも止めなかったのだが‥‥‥‥‥‥今思えばこれがとんでもない伏線だったのだ。 ハル「分かった。分かったよ。行くだけ行ってやるよそこに」 カオリ「本当?本当!?あ!それじゃあそれじゃあね‥‥‥‥‥‥!!」 俺の了承の言葉を聞くやいなや、母さんは予め用意していたのであろう大きなリュックを脇から取りだし部屋の中にどんと置くと、中にある物を次々と取りだし説明を始める。 カオリ「とりあえず向こうに着くまではこのリュックを使ってね?人間の日用品とか役に立つもの色々入ってるから!歯ブラシに鏡、ブラシに着替え、あと缶切りと‥‥‥‥‥‥これはいらないかも」 俺の世話を焼くときは、妙に張り切って口も流暢になるお騒がせな母親だ。
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