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俺は自分を呪った。何故、昨晩にあんな冷たい反応をとってしまったのかと。押し寄せる後悔の念、それと共に彼女の事が信じられなくなっていく。例え冷たくされても寝室に寝に来るくらいは出来たんじゃないかと。彼女を責めながらも自責の念に駆られ、相反する2つの気持ちが心中で入り混じり俺を押し潰そうとする。
(椛……)
俺が彼女を見下ろした時、向かい側にキチンとお膳立てされた晩御飯が目に入った。虫除けの網を被されている所から決して適当に作られた訳ではない事がはっきりと現れている。それは理解出来た。しかし、今の俺には逆効果だった。
(飯までキチンと作ってくれたのに……寝には来てくれなかったんすね……)
晩御飯を用意された事に関しては嬉しく感じたが、それ以上に彼女が寝室に来なかったと言う事実、そこから来る悲しみが上から塗り潰していた。俺の目に涙は流れていなかったが、心は間違い無く泣いていた。
ここで空気を読まず、腹の虫が鳴いた。それも当然といえば当然か。昨晩から何も食べていないのだから。
「……とりあえず、なんか飯を探しにいくか」
せっかく用意されていたのだが、今の俺にはそれを食べると言う選択肢は思い浮かばなかった。まだ暗い上に雨が降り注いでいる外へ傘も持たずに出て街中を歩き始めた……。
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